そんきゅう

孫休

子烈 景皇帝 生没年235年 – 264年 所属

権臣を誅して実権を取り戻した、学を好む呉の第三代

能力値
統率 E
武力 E
知力 C
計略 D
政治 D
人望 C
関連年表
235年 孫権の六男として生まれる。母は王夫人
幼少 十三歳で伴読を付けられ、学問を好んで書を読む
252年 琅邪王に封じられ、丹陽・会稽へ移る
258年 孫綝が孫亮を廃し、擁立されて帝位につく
258年 孫綝を丞相に任じて警戒を解かせつつ、丁奉・張布と謀る
258年 臘会の宴で孫綝を捕らえて誅し、実権を取り戻す
親政期 五経博士を置いて学問を奨励し、農桑を勧める
264年 蜀の滅亡と交阯の叛乱のさなかに病没(享年三十)。孫晧が跡を継ぐ

略歴

孫休、字を子烈といい、呉の大帝・孫権の六男である。母は王夫人。十三歳のとき、大臣の子らを伴読につけて学問を修め、書物を好んでよく読んだ。長じて琅邪王に封じられ、丹陽へ、のち会稽へと移り住んでいる。 太平三年(258年)、権臣・孫綝が幼帝・孫亮を廃すると、白羽の矢が立ったのが孫休であった。迎えの使者を受けた孫休は、罠ではないかと疑って慎重に歩を進め、都へ入って帝位についた(呉の第三代)。孫綝を丞相・荊州牧に任じ、一族五人を侯に封じるなど、まずは厚く遇して警戒を解かせた。 だが孫綝の専横は止まらない。兵を握って驕り、皇帝の賜り物を突き返し、「われを廃するつもりか」と公言してはばからず、宮中には不穏な空気が満ちた。孫休は身の危険を悟り、老将・丁奉と左将軍・張布にひそかに謀を打ち明ける。丁奉は「臘会(年末の祭祀の宴)に招き、その場で捕らえるべし」と献じた。 同年十二月の臘会、孫綝は不吉を感じてなかなか参内せず、使者を十度も遣わしてようやく席についた。酒がめぐったところで丁奉・張布が目配せし、伏せていた兵が一斉に立って孫綝を捕らえる。孫綝は「交州へ流されても構いません」と命乞いをしたが、孫休は「ならばなぜ滕胤・呂拠を流さなかったのか」と応じ、その場で斬らせた。孫綝の一族は誅され、孫峻・孫綝の墓は暴かれて、二人の名は孫氏の族籍から除かれ、「故峻」「故綝」と貶め称された。 親政ののち、孫休は学問を奨励して五経博士を置き、農桑を勧めて政を正そうとした。だが永安七年(264年)、蜀の滅亡と交阯の叛乱に心を痛めるさなかに病を得て没した。享年三十。子はまだ幼く、群臣は国難の時に年長の君主を求めて、孫和の子・孫晧を立てることになる。

逸話

孫休が帝位を継ぐと決まったとき、その足取りは慎重をきわめた。孫綝の使者を受けても、罠ではないかと疑ってすぐには動かず、道々の様子をうかがいながら都へ向かったと伝わる。幼帝を廃したばかりの権臣が迎えに来たのだから、警戒は当然であった。即位後もしばらくは孫綝を丞相に任じ、一族五人を侯に封じて厚く遇し、まったく害意を見せなかった。 決着は、年末の臘会でついた。丁奉の献策で宴席に招かれた孫綝は、その日に限って不吉を感じ、病と称して参内を渋った。だが十度も使者を送られてはことわりきれず、ついに席についてしまう。酒がめぐったころ、丁奉と張布が目配せし、伏せていた兵が一斉に立った。 捕らえられた孫綝は、平伏して「交州へ流していただくだけで構いません」と命を乞うた。孫休はこう切り返したという——「ならばなぜ、卿は滕胤や呂拠を流してやらなかったのか」。孫綝は言葉を返せなかった。長らく傀儡として耐えた若き皇帝の、これが唯一にして決定的な反撃であった。 親政に入った孫休は、五経博士を置いて学問を奨励し、農桑を勧めた。だが在位わずか六年、蜀の滅亡と交阯の叛乱に心を痛めるさなかに三十歳で世を去る。子は幼く、群臣は国難に年長の君主を求めて孫晧を立てた——その選択が、呉の最後の暴政を招くことになる。

評価

孫休は、傀儡の座に甘んじず、老臣と謀って専横の権臣を討ち、みずから実権を回復した点で、呉の歴代皇帝のなかでは気概ある君主として評価される。学を好み、政を正そうとしたその姿勢は、乱れた呉の宮廷における一時の光であった。 だが早くに没し、後継を幼子に託せなかったことが、暴君・孫晧の登場を招く結果となった。

演義

小説『三国志演義』では、権臣・孫綝の専横のもとで即位する皇帝として登場する。丁奉らと謀って宴席で孫綝を誅し、実権を取り戻す場面が描かれる。 呉の宮廷が権臣によって乱れるなか、これを一度は正した君主として位置づけられている。
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