かかく

華覈

字永先 生没年? – 278年 所属呉

『呉書』を編み、暴君を諫めた呉の文才

能力値
統率 F
武力 F
知力 C
計略 E
政治 C
人望 D
関連年表
— 呉郡武進県に生まれる
— 上虞尉・典農都尉を経て、文学の才により秘府郎となる
— 中書丞に遷り、上奏文の名手として知られる
250年代 韋昭・周昭・薛瑩・梁広とともに『呉書』の編纂を命じられる
孫晧期 奢侈・造営・酷刑をやめ農桑に力を入れるよう、上奏を重ねる
— 獄に下された薛瑩のため「五帝三王はみな史官を立てた」と上疏する
— 薛瑩は広州へ流されたのち召し還され、左国史に復する
273年 韋昭の助命を幾度も願うが容れられず、韋昭は誅される
— 些細な過ちをとがめられて免官される
278年頃 没する。呉の滅亡の二年ほど前であった

略歴

華覈、字を永先という。呉郡武進県の人である。 上虞尉・典農都尉をつとめたのち、文学の才を認められて秘府郎となり、中書丞に遷った。とりわけ上奏文をつづる筆の見事さで知られた文臣であった。 孫亮の代、孫権の時代に編まれた『呉書』の出来がよくないとして、改めて編纂が命じられたとき、華覈はその任にあたる五人の一人に選ばれている。韋昭・周昭・薛瑩・梁広とともに、呉の歴史を書き残す仕事を担ったのである。 暴君・孫晧の世にあっては、たびたび文章をもって主を諫めた。奢侈や酷刑、無用の造営をやめ、農桑に力を入れるよう、切々と上奏を重ねている。その諫言が容れられることは多くなかったが、傾く国を憂える忠誠から発したものであった。 そして華覈の筆は、ともに史書を編んだ同僚の助命にも向けられることになる。 晩年、些細な過ちをとがめられて官を免ぜられ、天紀年間——二七八年ごろ——に世を去った。

逸話

華覈の筆が何のために使われたかを示す最良の例は、孫晧への諫言ではない。同僚の命を救うための上疏である。 『呉書』の編纂を命じられた者のうち、周昭と梁広は途中で世を去り、残る三人が仕事を引き継いだ。ところが暴君・孫晧の世になると、その三人のうち二人が獄に下されることになる。 まず薛瑩が罪を得たとき、華覈は上疏して、こう論じた——五帝三王はみな史官を立てた。国の事績を記し後世へ伝えることは、帝王の務めなのです、と。そのうえで、編纂にあたっている薛瑩を失うことの損失を説いた。 この嘆願は通った。薛瑩は広州へ流されたが、やがて召し還されて左国史の任に復している。 だが、韋昭のときは違った。鳳皇二年(273年)、孫晧の求めた「父の孫和のために紀を立てよ」という命を拒み続けた韋昭が獄に下されると、華覈は幾度も上疏して、韋昭を赦し『呉書』を完成させてほしいと願った。孫晧は聞き入れなかった。韋昭は七十歳で誅され、その子は零陵へ流された。 同じ書物を編んだ三人のうち、一人は救えて、一人は救えなかった。 華覈が孫晧に送った諫言の数も、並ではない。奢侈をやめること、無用の造営をやめること、酷刑を緩めること、農桑に力を入れること——切々と文章を重ねている。孫晧はその多くを容れなかった。言葉で人を動かすことを職とした人が、言葉の通じない相手に向かって書き続けたことになる。 晩年は、些細な過ちをとがめられて官を免じられた。天紀年間に世を去っている。呉が晋に降る、わずか二年ほど前であった。 その『呉書』は残った。のちに陳寿が『三国志』の呉書を書くときの主要な典拠となったのが、この書である。韋昭は殺され、薛瑩は流され、華覈は免官されて死んだ。三人が揃って報われなかったにもかかわらず、彼らが書いた記録だけが生き延びて、今日われわれが呉という国を知る手がかりになっている。

評価

華覈は、『呉書』の編纂に加わって呉の歴史を書き残し、また暴君に諫言を惜しまなかった、文才ゆたかな忠臣である。その筆は、史書として後世に、諫奏として当代に、それぞれ用いられた。 その筆は、ともに『呉書』を編んだ同僚の助命にも向けられた。薛瑩は救えたが、韋昭は救えなかった。暴政のもとで、なお言葉の力を信じて書き続けたその姿には、文人の良心がにじんでいる。

演義

小説『三国志演義』では大きくは描かれないが、呉の文臣としてその名が伝わる。 『呉書』の編纂に携わり、孫晧を諫めた実像は、三国の歴史を今に伝える営みと、暴政に抗う文人の気概とを、あわせて物語っている。
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