さて、序章において三国志の簡単な基本に足を踏み入れました。
まだ現段階では三国志という中身を知ることはできなかったでしょう。次章から、三国志の物語を追っていきたいと思います。
2007年の新社会人にオススメしたい本で1位に選ばれたのが、この三国志であります。
そもそも三国志演義って架空小説なの?・・・という声もありますが、主人公劉備を中心に描いていて、脚色されているのは事実です。
物語で登場する人物も実在人物です(一部架空人物も含まれますが)
三国志演義は明の時代に書かれた中国の通俗歴史であり、著者は羅貫中という人物です。
--------三国志演義とは
時代は184年頃、主人公の劉備は母のために当時貴重とされるお茶を求めて、海で船を待ちます。そこから三国志演義の物語は始まるのでした。
元々この劉備という人物、正史では活発なやんちゃ坊主であり、徒党を組んで暴れ回り目立つことが大好きな派手な人物と評されております。自称漢帝国の有名な中山靖王(ちゅうざんせいおう)劉勝の末裔としており、肩書きにうるさい人間でもあります。
主人公とされた理由は、劉備のサクセスストーリーが一番描きやすい点があると思います。正史に伝えられる劉備の生涯のライバル・曹操は早くからして大国を築きます。劉備は何度も諦めず、齢50過ぎでやっと自分の国を築く訳ですから、物語として書きやすいのではないでしょうか。
演義において劉備はお茶を求め苦労の末に手に入れるのですが、当時勃発していた黄巾の乱に巻き込まれます。それをいつの間にか、張飛が現れ賊から劉備を助け運命の出会いを果たすのです。
その後、無事に家に着いた劉備は母にお茶を差し出した瞬間、母はお茶を川へ投げ込み泣き出します。母とすれば、危険をおかしてまでお茶なんか買ってくるんじゃないよ!って感じで劉備を叱っており、劉備もここで反省するのです。
貧しい母子家庭で、母は内職、劉備は農作業などをして生計を立てているのが演義です。
本来は従兄弟から援助してもらったり、商人らが劉備を偉く気に入り投資しており、お金にはそれほど困っていたとは思えませんが、この貧乏生活がいかにも主人公らしい設定でもありますね。
文中にもありました黄巾の乱。演義正史関わらず、三国志の始まりはこの反乱から起きたのです。黄巾の乱は、悪政と飢饉による災害により農民が反乱を起こしたもので、それを扇動して中心となった張角(ちょうかく)という人物が、太平妖術の書をある山中の仙人からもらったことで、どんな病でも治す「赤心丹」という薬を発明するのです。
張角に書物を渡したのは、南華老仙。まず、太平妖術の書といういかにも怪しい書物ですね。これを元に実際に張角の弟らは妖術を使う訳ですが(笑)
史実では、太平道といういわゆる宗教であり頭に黄色の布きれを巻いて反乱したことから黄巾の乱とされました。
太平道についてはレビューにてまた詳しくお伝えできればと思います。
三国志演義の始まりはこのようにして、心優しく貧しい中で育った劉備を描いていることが解りますね。
三章では、いよいよ劉備が決起して黄巾賊と戦う場面です。黄巾の乱についてもすこしお話しましょう。